内山さんが語るパディントン2

大好きな要素がたくさん詰まったパディントンの魅力を内山さんがお話されていたから、書き起こしせずにはいられなかった。太字がわたしも特に言いたい。
あと、「なんでか知らないんですが、英語を喋ります」ってツッコミどころがいかにも内山さんらしくて笑った。おばさんから習ってたよね。

以下、ワンクールの#165の書き起こし。

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この映画は監督がポール・キングさんという人で、前作1もパディントンもこの人です。
原作がありまして、マイケル・ボンドという人が書いた「くまのパディントン
児童文学で1958年から始まったシリーズらしく、世界中で翻訳されている有名な作品が原作となっています。それが実写化という流れ。
今回のパディントン2の脚本内容が直接そのまま原作にある訳ではないそうでございます。
前作は2014年に公開されて、それが大ヒットして、全世界で328億円越えの興行収入だったそうで、それで続編制作という流れになったそうです。
プロデューサーがデヴィッド・ハイマンという人でハリーポッターシリーズを制作してきた人だそうです。
フランスの会社のスタジオカナルという会社が作っています。
僕は前作は見ておらず、そういう状況で何故か見に行きました。

あらすじを簡単に紹介したいと思います。
主人公のパディントンはくまです。なんでか知らないんですが、英語が話せます。
元々南米のペルーに住んでいた人ではなく、くま。
あるきっかけによってパディントンはロンドンに行く事になります。
そこでたまたまブラウン一家という家族と出会って、そこに居候する事になります。
そこから色々な事が起こってブラウン一家と仲良くなって、正式にというかそこに同居する事になったのが、前作パート1だそうです。

今回2という事で、そこではパディントンはブラウン一家だけではなく、近所の人達とも仲良くなって愛されキャラとなっていると。
彼はペルーに育ての親であるルーシーおばさんという人がいて、おばさんの100歳の誕生日が近いと。
ルーシーおばさん大好きなので、プレゼントを探す中で、ルーシーおばさんという人は、あ、くまですね、いちいち訂正してもしょうがないですが。
ルーシーおばさんはロンドンに憧れているそうで、ロンドンに憧れているルーシーおばさんにぴったりの絵本を見つけます。
飛び出す絵本みたいな感じなんですけど、それがとても高価で、だけどもその絵本を買うためにパディントンは働き始めると。
しかしある日その絵本が何者かに盗まれてしまう。
パディントンはおばさんを喜ばせる事が出来るのだろうかというのがパディントン2の物語でございます。

パディントンなんでいきなり見に行ったかと言うと、友達が薦めてくれて面白かったよって言ってくれたんですがその段階では、「え、パディントン…?」みたいな。
予告とかは前作も含めて見た事はあったんですが、まあ子供向けのくまさんの映画だろうくらいだったんですが、まあ完全に舐めていたというか。
プラス評論家の人も褒めているのを見たりして、見に行く事にして。
それもタイミングよく見られたというか、なんかこう色々調べる中で「あ、この回行けるな」みたいになって期待しないで見に行ったんですが、まあ結論から言えば大傑作というか。
薦めてくれた友達にはもう謝るしかないないう感じで、今すぐ皆見に行くべき映画で、見逃すのはもったいないというような作品だと思います。
でしかも、このアメコミ大作全盛の時代にこんなに古風な、まあ正統派と言ってもいいと思うんですが、エンターテイメントをやっているというのは素晴らしくて。
しかもコメディの要素もあるしアクション要素もあるしっていうので、これはもう応援せざるをえないなと言うような映画でしたね。

まずポイントの一つ目は、ポール・キングという監督ですね。
この人は知らなかったんですけれども、今回は監督と脚本と、まあ共同脚本の人がもう一人いますけど、ポール・キングという人はそもそもテレビ界で活躍してた人らしく「マイティ・ブーシュ」という作品、コメディーらしいんですけど、それで高い評価を受けたと。
2009年に初長編「バニーアンドザブルー」2014年に長編2作目となる「パディントン
で、今回パディントン2が三作目で、ここまできていると。
最後の方でもまた喋りますけど、ポール・キング監督はこれからどんどんどんどん多分ステップアップしていく、本当に要注目人物となっていく才能溢れる人だと思いますね。

ポイントの二つ目が、とにかく目が楽しい映画であるという事。
まず予告とか見ればと分かると思うんですが、パディントンの実在感が、しかも実写映像との組み合い方と言うか、マッチが凄い。
まあもちろん、今や本当に技術の向上しているので、実写映像に対して後からカメラに写っていなかった物を加えるっていうのは当たり前だし、それがよく出来てるからと言って大きな驚きはないと思いますが、にしても凄いというか。
その凄さって言うのが、所謂リアルくま感もありつつ、プラス絵本から出てきたようなくま感っていうのが凄くて。
またそれに加えて美術の工夫、セットも良く出来てるし、小道具も凄い細かく作りこまれているし、それぞれの衣装なんかもね、手が込んでいてって言う。
そういうのが諸々組み合わさってパディントン2の映像世界がとてもよく出来ていて、総じてリアル路線というよりは、ちょっと一歩少しそこからは離れた現実感、パディントン2なりのリアリティ、ファンタジーと現実の間ぐらいあの感触が凄い良いんじゃないかなと。

絵本から飛び出てきた話で言うと、冒頭にキーアイテムとなる飛び出す絵本の紹介があるんですけど、そこの場面がまあ素晴らしくて。
絵本を開くと、そこにパディントンが入り込んだような形でルーシーおばさんを案内するような描写があるんですが、そこもセンスオブワンダーというか、もう見てて心が凄いワクワクするような感じが凄い良くて。
カメラワーク含めて本当によく出来ていて。
面白いのが、絵本的世界に見えるパディントン2で、そのまたその中の絵本世界というか、枠の中の枠みたいな、そういう意味でも面白い。
それがまず一つ最高の掴みになってますね。
これでこの映画は良い映画なんだなと分かるというような、尚且つ、物語の必然性を高めるという、つまりこの絵本を手に入れるためにパディントンは頑張るんだなっていう動機づけになっていて。
それが良く出来てるなと思いましたね。

他にも目が楽しいで言うと、遊園地とかも出てくるし、刑務所とかも出てくるし、あと電車が後半にあるんですけど、それぞれ様々魅力的な舞台が用意されていて。
シーン毎にどこもルックが良くて、全く絵的には飽きさせない作りになっているのが素晴らしいですね。
刑務所のシーンで出てくる、所謂断面図セット。
つまり建物を上から垂直に切ったような断面を横からカメラで撮る構図のやつも出てきて、そこもまあワクワクしますね、素晴らしいですね。
で、このポイントで言うと、ウェス・アンダーソン監督の映画とかが好きなら絶対見るべき作品だと思いましたね。

ポイント3つ目は巧みなストーリー面ですね。
ストーリーで言うと、やっぱり約束されたハッピーエンドと言うか、そこに向かっていく事は間違いない訳ですが、まあ子供も見られると言う事で、まあ要は何か一騒動起こるんだけれども。
まあ皆で頑張って解決して日常生活に戻るっていうのもそれは皆分かってる訳じゃないですか。
それをいかに魅力的に見せるかっていう中で、まあ所謂三幕構成と呼ばれるような作り。
日常生活があって非日常に行ってまた日常に戻ってくる。
1.2.3で進むって見てて頭の中で皆それを思い描くと思うんですけれども。
今回で言うと、パディントンと一家 の生活が最初に描かれて、近所の人達と交流があって、飛び出す絵本というのと出会って、それをきっかけとしてドラマが動き出して、それを皆で頑張って解決するっていう流れですよね。
予想の範囲内と言えば、もちろんそうなんですけど、この流れをどうやって描くかっていう、その気の利いたディティールも含めて、基本がちゃんとしてるストーリーテリングによって感動が生まれているんじゃないかなと。

どこが特に良いかと言うと、まず一つ目の日常パートで言うと、パディントンの一日の始まりが描かれるんですけども、朝起きてブラウン一家とご飯食べたりして挨拶して、外に出て近所の人達と交流するっていうような一日の始まり。
まあ描写としてはパディントンが愛されているんだなっていう単なるシーンなんですけど、その何気ないシーンが次のパート、非日常のパートに移った時にどう変わるかっていうところに注目すると良いと思うんですね。
そこが描かれる所でパディントンの存在とはなんだったのかっていうのが、見てる人に分かるようになってるいう。
その同じ描写が繰り返されるんだけれども、変化しているっていう手法ですね。
その描写の反復っていうのがうまく出来ていて、繰り返し描かれる場面で言うと、家族の現在の日常の紹介場面が何気ないシーンなんだけども、それが後半にどう活かされるのかとか。
パディントンがコインを持っているんですけども、そのコインがどこでまた出てくるのかって言うところで、そういう繰り返しが本当にきいていて、ギャグとかコメディ描写、単なる出オチ的なシーンなのかと思いきや、それが感動を生む仕掛けになっている。
そういう歯車のかみ合い方がまあよく出来ていて、それがとても素晴らしいと。

しかも劇中そんな事あるのかなあっていうような突飛な事も起こるんですけれども、それもまたさっき言ったルックに助けられてるって言うか。
絵本的な世界観によって、絶妙なリアリティが作られているので、この世界観ならありなんじゃないかと思えるような作りになっているし、それもまたよく出来ているんじゃないかなと。
今年一番見るべき映画の一つだと思っていて、特に物語だったりエンターテインメントが好きな人なら必見な映画ですね。
前作みてなくても大丈夫なので問題はありませんね。