無職になって二か月が過ぎた。八月末付で十年勤めた会社を辞めた。
誰にでも出来る仕事だよ…と思いながらも、同じ所で十年働き続けたのは狭い世界の中ではあるけど多少誇れる事だと思ってる。
今までずっと辞めたい辞めたい言いながら実行に移せなかった一番の理由は、他でやっていける自信がないからだった。
けど、中途で入ってきた経験者(二か月で辞めていった)の働きぶりを見て「え、これで大きな所で忙しく働けていたと言うのなら、わたし他でも余裕でやっていけるわ」と確信したよね。
そして、その他諸々の話を聞いていると、良いと思っていた我が社の雇用条件も別段良くないんだなあと気付いてしまったから。
この業界は社保完備なんて珍しく、賞与もあればラッキー、残業代なんて出る筈もない!
なのに朝から晩まで拘束され、低賃金、汚い、キツい、命にかかわり死に立ち会う、怪我の危険が常にあるという、、何と言うか搾取されまくる世界。
今、求人を調べて見てもそうだけど、この条件で人が来ると思ってんのか?これでお前は働きたいと思うのか?というような求人しかない。まあ、もうこの業界で働く気はないので関係ないけどさ。
うちは社長がかわってからはめちゃ良くなったと思ってたんだけど、それは世間からしたら普通の事だった。
今思えば些細な事だったかもしれないけど、積もりに積もって我慢の限界が来た結果。誰かは「そう簡単に限界はこない」って歌うけど、たった一言で限界が来た。よく我慢したよ自分。
実際には七月後半から有休消化していたので、働いていない期間がもう三か月になった。
最初の一か月は解放感でいっぱいで、寝たい時に寝たいだけ寝るという幸せに浸っていた。頭痛が起こる頻度が減ったと思う。
それからU-NEXTに加入して、映画を貪るように見た。
高校の時に見た映画を今再び見ると、刺さる箇所が全く違ったし、こんなに良い映画だったのか…と思う事が多かった。当たり前だよな、月日は十年以上流れている。
二か月目は実家に帰って、父母の手料理を食べたり、海に泳ぎに行ったり、猫と戯れたり、ばあちゃんと散歩に行ったりした。海に泳ぎに行った日は疲れからか、物凄くよく眠れた。
一度、酔った父にこれからについて聞かれたけど何も言えず終わった。
毎日、特にこれと言って身になる事をしていない。
これを後悔する日も来るんだろうけど、深く考えず自由に過ごせる今の幸せを噛みしめている。